ニッポン人の年金

2014年の所得代替率62.7%は...

2014年6月に、厚生労働省の社会保障審議会年金部会から、「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」が公表され、ここで「所得代替率」が改めて示されました。所得代替率とは「年金額を現役世代の手取り収入と比較した水準」を言います。

この報告では、経済について2023年度までの内閣府の試算と2024年度以降の推移パターンを組み合わせた8通りの推移と、そのそれぞれで出生率と死亡率の高位/中位/低位のパターンにおける所得代替率が試算されています。( 国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し‐平成26年財政検証結果‐新規ウィンドウが開きます
これによると

  • 2015年に行われる厚生年金と共済年金の一元化を踏まえた試算となり、前回2009年の公表よりも所得代替率は高めとなっている
  • 年金財政を維持すべく給付水準の調整が続けられているため、どのパターンでも2036年~2044年までには所得代替率は50%~51%の水準に収束し、その後は所得代替率を維持させる
  • 所得代替率を維持させるためには、給付及び負担の在り方について検討を行うこととされている

といった内容が示されました。
そのうち経済で中位かつ人口中位で推移した下図のパターンでは、図中の下段の通り、2014年度の所得代替率62.7%が、2030年度に56.5%、2043年度以降は50.6%になると試算されています。それも将来の年金給付と負担については、これから検討を行ったうえで所得代替率を維持させる、という条件付きになっています。

経済が中位かつ人口中位で推移した場合の所得代替率の見通し
平成26年度(2014)年の所得代替率は62.7%、平成31年度(2019)年は59.7%、平成42年度(2030)年は56.5%、平成55年度(2043)年は50.6%、平成62年度(2050)年は50.6%

[出所]厚生労働省 国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し‐平成26年財政検証結果‐(経済ケースEより)

すでに日本は低位

一方、経済協力開発機構(以下「OECD」)でも、各国の年金による所得代替率を公表しています。「図表で見る年金2013年版」(Pensions at a Glance 2013:OECD and G20 Indicators)によれば、日本の「義務加入年金の所得代替率」は35.6%とされており、これはOECD諸国の平均54.0%に対して、かなり低位の水準です。

なお、先ほどの厚生労働省の公表する所得代替率62.7%が(夫婦世帯の年金額/夫のみ就労世帯の手取り賃金)で求められる「2014年水準」なのに対して、OECDの公表値35.6%は、税・社会保険料控除前の2012年の個人の年金額/報酬額によるものです。他にもOECDの公表値にはいくつか厚生労働省のものとは異なる前提があります。

義務加入年金の所得代替率は日本35.6(40.8)に対し、OECD平均54.0(64.2)

上:総所得代替率(税・社会保険料控除前の年金額/税・社会保険料控除前の報酬額)
下(カッコ内):純所得代替率(税・社会保険料控除後の年金額/税・社会保険料控除後の報酬額)
[出所]OECD2013, Pensions at a Glance 2013:OECD and G20 Indicators, OECD Publishing

労働所得でカバー

またOECDの報告では、各国の高齢者の所得の内訳(2000年代後半)も示されています。日本の高齢者の所得は、公的年金などの公的所得移転によるものが全体の48%、自営業の収入や給与収入といった労働所得によるものが44%、資産運用や個人年金などの資本所得によるものが8%となっています。

OECD諸国の平均(公的所得移転59%、労働所得24%、資本所得17%)と比べると、日本の高齢者は『労働所得の割合』が高く(高齢になっても労働所得を得られている)、 『資本所得の割合』が低い(貯蓄や個人年金をあまり頼っていない)といった特徴がみられます。

高齢者の所得の内訳(2000年代後半)
各国の公的所得移転、労働所得、資本所得の割合

[出所]OECD2013, Pensions at a Glance 2013:OECD and G20 Indicators, OECD Publishing

所得代替率の低位に対して

こうしてみると、日本の高齢者は公的所得移転への依存が低い(自助努力による収入の多い)人達であることが分かります。そして所得代替率の予測にならえば、公的所得移転の割合は、今後縮小するように思われます。

その縮小を埋めあわせようと思えば、既に割合の高い労働所得よりも、資本所得にその余地がありそうに思われますが、いかがでしょうか。


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